バーテンダー
バーテンダーをやっていたとき。
社長系のお客様から罵詈雑言浴びせられる事があった。
話を聞くと近日手術を控えているとのことだった。
この人にはそんな人生の厳しい時に、話せる人がいないのかと思った。
聞けばご家族さんもいて奥さんもいるという話なのに。
なんとなくだけど、彼は社会に責任を求めていたのかもしれない、社会にすがっていたのかもしれないと感じた。
彼からすると僕は社会だったし世間だった。
そんな僕を罵倒することで安堵を得たかったのかもしれないし、気がまぎれる関係性がほしかったのかもしれない。
それを認め、なんとかやりくるするのがバーテンダーの仕事だったのだろう。
それを思うと修行不足だった。
お客さんと心地よい空間を作るのがその時の目標だったのだけど、それだって結局は身勝手だ。個人の目標はお客さんには関係ない。
さすがにほかのお客さんに迷惑になるようならお引取りしてもらいます。
金を出しているというのなら、そのお値段ではそれ以上は無理です。そうとしか言えない。
大体そういうもの。