バーテンダー
バーテンダーをやっていたとき。
社長系のお客様から罵詈雑言浴びせられる事があった。
話を聞くと近日手術を控えているとのことだった。
この人にはそんな人生の厳しい時に、話せる人がいないのかと思った。
聞けばご家族さんもいて奥さんもいるという話なのに。
なんとなくだけど、彼は社会に責任を求めていたのかもしれない、社会にすがっていたのかもしれないと感じた。
彼からすると僕は社会だったし世間だった。
そんな僕を罵倒することで安堵を得たかったのかもしれないし、気がまぎれる関係性がほしかったのかもしれない。
それを認め、なんとかやりくるするのがバーテンダーの仕事だったのだろう。
それを思うと修行不足だった。
お客さんと心地よい空間を作るのがその時の目標だったのだけど、それだって結局は身勝手だ。個人の目標はお客さんには関係ない。
さすがにほかのお客さんに迷惑になるようならお引取りしてもらいます。
金を出しているというのなら、そのお値段ではそれ以上は無理です。そうとしか言えない。
大体そういうもの。
日常
日がな一日親のすねをかじり、思い出を整理する昨今。
タバコをふかしPCを見て。父にこんなことをしていた、こんなことがあったと話ている。
こういった事は子供のころはまったくなかった経験だと思う。
ありのまま客観的にあったことを話す。仕事には必要なものだと思う。
親にも話すのはためらわれるような子供だったように思う。
しんどいことも楽しいことも、素直には話せなかった。
人からどう思われるかに、いつもびくびくしていた。
関係が変わってきたのかもしれない。
ありのまますべて話せるというのは、本来は親ぐらいなのかもしれない。
社会関係は少しずつ距離をとりつつ、話し合ってくっついたり離れたり。
学歴
他人事
自殺
20才、大学を中退して引きこもりだったころ、近所の同級生の女の子が自殺したことがあった。
命からがら生きながらえたものの、もう長くはないという状態だった。
その子とは面識はあったんだけど、特にかかわりがあるわけでもなく、高校も同じだったのだけど、すれ違いざまに挨拶する程度の間柄だった。
母親とその子の母親は宗教がらみでつながりがあったらしく、合わせた目的というのはどうも僕に自信をつけさせようと思ったらしい。
彼女らがいうにはこの子みたいな子もいるんだから、頑張れ。ということだった。
話を聞くと、高校を中退した後、水商売をしていたらしい。
母親が言うにはクリスマスに彼氏がいなかったりするのを嘆いていたという。
恋人がいないということに関してそこまで深刻に思いつめるということもなかったけど、世間から切り離された感覚というのに絶えがたかったのかもしれないし、もしそうならその感覚はよくわかると思った。
ただそれを聞いたとき、僕はひどく残念に思った。
死ぬぐらいだったら、どこか別の環境や身の置き場に飛び込んでみたほうがいいと思う。クリスマスに彼氏がいないだとか高校中退なんて世界中にたくさんいる。それで人並みでないなんておかしい話だ。
人並みになんてできなくてもいい。死なないことよりも大切なことなんてない。
最悪なのはそういう普通の基準という幻想を糧に人を追い込む精神性だろう。
植物人間になっていた彼女はもう長くはないということだった。
去年、彼女も亡くなったということを聞いた。
暗い
昔から人間不信であったと思います。